多系統萎縮症という病気について~リハビリ編~
多系統萎縮症に対するリハビリ
ここでは多系統萎縮症の方に対して良く行われているリハビリについて紹介します。個人個人によってリハビリの内容は変化する為、注意の上ご覧ください。
様々な症状が出てきますが、多くが運動失調や環境設定に対してリハビリを行われていることが多いです。身体を動かさなくなっていくことで廃用症候群になってしまうことや活動性が落ちてしまい寝たきりになってしまうことをできるだけ防ぐ事を目標に取り組みます。
それだけでなく、リハビリの中で本人がやりたい可能な動作や活動を安全に行う事ができる事でその方の生活の質を向上させるという大事な役割もあります。
理学療法・作業療法
運動失調や廃用症候群に対して、手足や身体の動かし方を練習します。失調があると体を動かす時に力加減が上手くできなくなります。不必要な部分まで力が入ってしまったり、逆に動作時に力が必要な力が入らなくなります。
具体的な練習としては、
比較的皆さんにおこなう
・手足の力をリラックス(脱力)して動かす練習
・手と足を使って身体をねじる運動(寝返り)
・座って手足をリラックスする練習
・座って手足を動かす練習
難易度が高い練習
・バランス練習(座った状態や膝立ち、四つん這いなど)
・立ち座りや歩行、移乗の練習
・手首や指の運動
・衣服の着脱練習
・スプーンや箸の練習
環境設定
進行性の病気のため、適切な時期に体にあった環境に変更していくことが重要です。
例えば、
・机の高さや椅子の高さの設定
机、椅子の高さが体に合っていないと、姿勢の崩れや肩周りに力が入ってしまい余計に動きにくくなったり、痛みに繋がることもあります。
・食事環境の設定
机、椅子の高さも含まれますが、それ以外にも握りやすい箸や太い柄のスプーン、持ちやすいコップや食器が動きにくくするマットなど、姿勢や残存機能に合わせて適宜変更を必要です。
・車いすの選定
徐々に歩行ができなくなってくると、車いすを使うことも必要です。普通車椅子やリクライニング車いす、ティルティング機能が付いた物など体や全身状態に合わせたものを選択します。
・その他福祉用具の設定
その他の福祉用具を使用することで生活を楽にすることが出来る場合があります。例えば、ギャッジアップがついているベッドや柵、手すりなどです。
言語聴覚療法
言語聴覚療法では、主に発生練習や嚥下練習などを行います。舌の動きや飲み込む力やタイミングにズレが生じやすく誤嚥のリスクが増してしまいます。言語聴覚士は適切にそれらを判断し練習や環境の設定を行います。
・発声練習
発声練習前に顔面や口、首肩などのマッサージや柔軟体操を行います。実際の発声練習では、リズムや抑揚などを繰り返し行います。また『あ』『わ』などの一音だけでなく、『ありがとう』などの単語や文章など難易度に合わせて練習を行います。
・嚥下練習
口からものを食べるということは非常に重要なことで、その人の生きる活力や目的になっていることもあります。嚥下機能が落ちてくるとどうしても食形態を変える必要があったり、誤嚥性肺炎のリスクとの兼ね合いで経管栄養や胃ろうを造設することも珍しくありません。嚥下練習では安全に飲み込む練習だけでなく、実際飲み込んでいる形態などを評価して食形態(とろみ食や刻み食、ペースト食など)の変更などの提案をしてくれます。
今回は以上です。初めにも書きましたが、個人個人の症状や進行具合によってリハビリの内容は日々臨機応変に変わることもあります。なにか疑問点などがあればお近くの専門職にお聞きしてみてください。
多系統萎縮症とはどんな病気なのかはコチラ
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