パーキンソン病のリハビリ③リハビリのポイント
====
パーキンソン病の症状には、パーキンソン病そのものによる振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などと、これらによる活動性低下のために、進行に伴い出現する廃用症候群を中心とした二次的な症状があります。
リハビリは、二次的な症状や複合的な症状に対して効果的で、身体機能や筋力、バランス、歩行などの日常生活動作の改善に有効的です。
パーキンソン病のリハビリをおこなう上で、私がポイントにしているのは、
①病気の進行を考えた上での「先を見た動作練習」
②粗大運動
です。
①病気の進行を考えた上での「先を見た動作練習」
パーキンソン病は徐々に症状が進行していく病気です。
(進行度は下記の記事をご覧ください)
徐々に進行していく中、現在の体・生活動作の状態と次に考えられる状態を踏まえて先回りして動作の練習をしていきます。
例えば、「今はまだ、なんとか歩けているが、数か月先には四つ這いでの移動になるだろう」と考え、ベッドから床に降りる練習や四つ這いでの移動練習をする。
といったようにできなくなってから次を考えるのではなく、まだ動けるうちに数か月先に生活の主になるであろう動作を練習していきます。
②粗大運動
パーキンソン病では、筋固縮などの影響から徐々に体の動きが小さくなります。
ストレッチや可動域訓練などをおこない、動かせる範囲を保つのはもちろんのこと、現状での精一杯の大きな動きをご自身で確認しながらおこなっていただくことで、体の感覚を刺激したり、筋力をうまく発揮できるようにします。
パーキンソン病はその重症度によって症状や障害がかなり変化する疾患で、重症度によってリハビリの目標や介入方法、治療方法は異なります。
上記の2つのポイントを抑えた上で、下記のように重症度別にも取り組んでいきます。
重症度別のポイント
軽度の場合やパーキンソン病の診断がなされたばかりの時期には、リハビリをおこなうと共に、病気に対する理解が必要です。
中等度の場合では、日常生活動作の中で具体的な目標をたて、転倒の予防、姿勢、移動方法、バランスなど具体的なリハビリに取り組むことが必要です。
重度の場合には、呼吸や嚥下等の生命活動の維持、褥瘡や関節拘縮の予防が重要になります。
また、症状への日常的な対処方法の提案や家族への介護方法の提案もリハビリの重要な役割です。
以下の記事も合わせてご覧ください。
●パーキンソン病のリハビリ①病気のことを知ろう!
●パーキンソン病のリハビリ②進行度の指標