進行性核上性麻痺という病気について~症状編~
進行性核上性麻痺とは
進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)はパーキンソン病と似た症状(パーキンソン症状)も現れますが、進行具合や症状・原因となる脳の変性場所も異なります。パーキンソン病は脳の中でも中脳(黒質)と呼ばれる部分が変性していくのに対して、進行性核上性麻痺では、大脳基底核・脳幹・小脳といった部分の変性(神経細胞が減っていく)が起こると言われており、パーキンソン病より範囲が広いことも特徴の一つです。様々な病型があると分かってきた一方で、現在では有効な治療法は確立されておらず対症療法にとどまっています。
進行性核上性麻痺の特徴的な症状
進行性核上性麻痺の特徴的な症状は、転びやすくなることです。パーキンソン病の特徴と違って、初期からよく転ぶことが多いとされています。また、とっさに手を前に出せないことで顔面を直接打つことがあります。また、下でも解説する認知症も絡み合うと歩行している時期のみならず車椅子・ベッド上生活でも転倒・転落などが続くこともあります。他の代表的な症状も紹介します。
①上下の目の動きが悪くなる
目の動きが障害されます。垂直性の注視麻痺と難しい名前がついていますが、簡単に説明すると、眼球を上・下に意識的に動かしにくくなります。寝返り時のような無意識な首や顔の向きを変えた時や人に顔の向きを変えられた時の目の動きは可能です。目の動きは初めに上方向の動きが悪くなり次に下方向、進行すると左右の動きも困難になります。この症状は初期には現れません。
②飲み込み・話ずらさ・噛みにくさ
構音障害・嚥下障害と呼ばれる症状がでます。
話しにくさの症状は、小声、大声、無言、早口、聞き取りづらいなど様々です。
噛みにくさ・飲み込みにくさは初期には少ないと言われています。症状は3~4年程度から出現することが多く、経管栄養が必要になるまで大体7年程度という報告もあります。
③首が固くなる
首が後屈して硬くなることも特徴の一つです。首や身体の中心部分である体幹が固くなることが特徴です(パーキンソン病では手足が固くなりやすい)。初期にはこの固くなる症状は少なく、逆に筋肉の緊張が低下していることもあります。
④認知症
転倒の原因となる一つの症状として認知症があります。この認知症は前頭葉型の認知症(病巣が前頭葉に広がっている)と呼ばれています。
症状としては、忘れっぽさだけでなく
・周囲に注意を向けられない
・無頓着
・周囲への関心がなくなる
・思考が遅くなる
など様々な症状があります。こけやすいことに無頓着で周囲や脚元に注意を向けられない為、転倒を繰り返してしまいます。
次回は進行性核上性麻痺のリハビリについて解説します!