高齢者の姿勢の特徴を知りましょう:高齢者の転倒と円背について
高齢者とは
高齢者とは、保険制度上は65歳以上の方を対象しています。
・前期高齢者:65~74歳
・後期高齢者:75歳以上の方
加齢と体の変化
通常の人は加齢(年を重ねる毎)に身体的な機能としては低下していく経過をたどります。
例えば、
・筋力
・平行機能
・自律神経
・柔軟性
・呼吸系
・循環系
とざっと挙げただけでも体に重要な要素が殆ど低下していくことが分かります。
姿勢の変化(円背)
加齢が進むにつれて、背骨は曲がる傾向が有ります。特に胸椎といい肩甲骨あたりの部分が曲がってしまう事が特徴的です。その代償で顎が付きあがり、腰椎も丸まりやすくなります。そのままだと前を見ることが出来なくなるので、膝を曲げて体を起こします。こうして円背姿勢になりやすい体となってしまいます。
※円背になってしまうと、重心が後方に変化してしまいます。結果として、膝や、背筋、ふくらはぎの筋肉が必要以上に活動が必要になり負担がかかったり、痛みが出て来たりする可能性が高くなってしまいます。
どんな人が円背姿勢になりやすいのか
円背姿勢の人は下の3つの特徴と関連しています。
・骨粗鬆症になっている人が多い
・背筋の力が弱くなっている
・農作業など前屈み姿勢を長期間取っている
なぜこのような特徴があるのでしょうか。
おそらく加齢とともに腹筋・背筋力が弱まって、体を起こすことが難しくなってくるのでしょう。加齢とともに骨密度が低下してしまいます。そうすると背骨前方に常に過剰な圧がかかり、圧迫骨折のリスクが高くなります。圧迫骨折の数が増えるとより体は前のめりになりやすく、円背姿勢を取りやすくなってしまいます。
高齢者の円背姿勢と転倒
・後方重心に加えて、足のアーチも低くなり重心が低くなってしまいます。結果として歩くときに重心を持ち上げる事が難しくなり、足を不必要に持ち上げて歩くもしくはすり足の様な床と足の裏の間が狭くなり、なにか障害物につまづいたり、ふらついてこけてしまうリスクが高くなります。
・加齢と共に足関節でバランスを取ることが難しくなります。代わりに股関節を使ってバランスを取る事になりますが、足関節に比べて反応は遅くなります。また背骨が硬くなっている為、ふらついた時・つまずいた時・スリップした時に特に体が後ろに倒れる速度が速くなってしまい転倒してしまいます。
今回は姿勢のみに触れましたが、高齢者は姿勢だけでなく、平衡機能・筋力などその他の大事な機能も低下しているため、より不安定になっています。リハビリや自分でできる安全な体操で転倒を予防していくことが重要です。
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