みき訪問看護ステーション太鼓判ブログ

このブログは、あくまで一般的なリハビリテーションの方法や情報、体験談と解釈していただき、必ず主治医やご担当の療法士にご相談の上で実施するようにしてください。

パーキンソン病の概要

パーキンソン病の概要

パーキンソン病のリハビリをおこなうためには、まず、パーキンソン病がどんな病気かを知る必要があります。

どんな症状が出て、進行するとどうなっていくのかを大まかにですがお伝えしていきます。

パーキンソン病は、お一人お一人、症状の出方が違うので、詳しくは、かかりつけの医師に確認してください。

症状

パーキンソンには、下記の4つの特徴的な症状があります。

①ふるえ(振戦)

安静時振戦といわれる「何もしていない時にふるえる」が見られます。手だけでなく、足や顎もふるえることがあります。

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②筋肉のこわばり(筋固縮)

筋肉の緊張が高まり、手足の動きがぎこちなくなります。パーキンソン病の筋固縮は、動かした際にギコギコとまるで歯車のように感じる歯車様固縮が特徴です。

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③動作が遅くなる(無動)

動作の開始に時間がかかり、動作そのものも遅くなります。目のまばたきが減り、顔の表情が硬くなり表情が出難くなります。また、字が小さくなります。

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④姿勢を保てなくなる(姿勢反射障害)

倒れそうになっても、反射的に姿勢を
直すことができず、転びやすくなります。

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これらの4つ症状により、日常生活においては歩行が障害されたり(前傾姿勢、小歩、すり足、進行するとすくみ足や突進歩行)、手の動作が不自由になったり(書字やボタンかけが困難、食事困難)、表情が乏しくなったり(仮面様顔貌)、声が小さくなったり、動作がゆっくりになってきます。

一人の患者さんにこれらの症状が、すべてが現れるわけではありません。

 

この他に

⑤同時に2つの動作をする能力の低下

⑥自由にリズムを作る能力の低下

もみられます。

 

また、

⑦自律神経障害

⑧うつ

睡眠障害

⑩認知機能の低下

なども高頻度でみられます。

 

初発症状はふるえが最も多く、次に動作の拙劣さが続きます。

中には痛みで発症することもあります。痛みの治療していたが良くならず、そのうち振戦が出現して診断がつくこともあります。

 

進行度の指標

パーキンソン病は、症状が徐々に進行していく病気ですが、病気の進行速度はそれぞれの人によって異なります。

パーキンソン病の進行度を示す指標として、ヤールの分類という重度分類あり、StageⅠからStageⅤまでがあります。

 

【ヤールの分類】

StageⅠ:症状は左右どちらか一側性で、振戦や筋固縮はないか、あっても軽度。
SageⅡ:症状は両側性で振戦や筋固縮はみられるが軽度。日常生活や仕事にやや不便さがある。
StageⅢ:姿勢反射障害が出現。突進減少がみられる。日常生活に支障は出るが一人で生活は可能で介助は不要。
StageⅣ:高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能。
StageⅤ:介助なしにはベッド又は車椅子生活となり、日常生活は全面介助。

 

パーキンソン病の予後

パーキンソン病自体は進行性の疾患です。患者によって進行の速さはそれぞれです。

適切な治療を行えば、通常発症後10年程度は普通の生活が可能です。それ以後は個人差があり、介助が必要になることもあります。

しかし、生命予後は決して悪くなく、平均余命は一般より2~3年短いだけです。高齢者では、脱水、栄養障害、悪性症候群に陥りやすいので注意が必要です。生命予後は臥床生活となってからの合併症に左右され、誤嚥性肺炎などの感染症が直接死因になることが多くあります。

 

パーキンソン病に対するリハビリのポイント

 

パーキンソン病のリハビリをおこなう上で、私がポイントにしているのは、

①病気の進行を考えた上での「先を見た動作練習」

②粗大運動

です。

先を見た動作練習

パーキンソン病は徐々に症状が進行していく病気です。

徐々に進行していく中、現在の体・生活動作の状態と次に考えられる状態を踏まえて先回りして動作の練習をしていきます。

例えば、「今はまだ、なんとか歩けているが、数か月先には四つ這いでの移動になるだろう」と考え、ベッドから床に降りる練習や四つ這いでの移動練習をする。

といったようにできなくなってから次を考えるのではなく、まだ動けるうちに数か月先に生活の主になるであろう動作を練習していきます。

粗大運動

パーキンソン病では、筋固縮などの影響から徐々に体の動きが小さくなります。

ストレッチや可動域訓練などをおこない、動かせる範囲を保つのはもちろんのこと、現状での精一杯の大きな動きをご自身で確認しながらおこなっていただくことで、体の感覚を刺激したり、筋力をうまく発揮できるようにします。

 

パーキンソン病はその重症度によって症状や障害がかなり変化する疾患で、重症度によってリハビリの目標や介入方法、治療方法は異なります。

上記の2つのポイントを抑えた上で、下記のように重症度別にも取り組んでいきます。

●軽度の場合やパーキンソン病の診断がなされたばかりの時期には、リハビリをおこなうと共に、病気に対する理解が必要です。
●中等度の場合では、日常生活動作の中で具体的な目標をたて、転倒の予防、姿勢、移動方法、バランスなど具体的なリハビリに取り組むことが必要です。
●重度の場合には、呼吸や嚥下等の生命活動の維持、褥瘡や関節拘縮の予防が重要になります。
また、症状への日常的な対処方法の提案や家族への介護方法の提案もリハビリの重要な役割です。

 

パーキンソン病の生活動作ポイント

歩行のポイント

食事のポイント

乗り移りのポイント

トイレ動作のポイント

身だしなみのポイント

入浴動作のポイント

着替え動作のポイント

 

パーキンソン病福祉用具導入のポイント

体が動きにくくなる一つの原因とて、『危ないなぁ』と感じるときがあります。また、不慣れな環境では動作のイメージがしにくため体がでにくくなります。

そのため、環境を変える際は、動作ができにくくなってからではなく、できるうちから症状の進行を想定し、早めに改修することをオススメします。

 


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